IBU
IBU(International Bitterness Units)は、ビールの苦みの強さを表す指標です。ビール中のアルファ酸と呼ばれる化合物の量に基づいて測定され、その結果は苦味の強さを数値で示します。IBUが高いほど、ビールの苦みが強くなります。
ビールの苦みは主にホップから得られます。ホップに含まれるアルファ酸は、ビールが加熱されるとイソアルファ酸に変化し、苦みをもたらします。IBUは、ビール中のアルファ酸の濃度や種類に基づいて計算され、化学的な分析によって測定されます。
IBUは通常、0から100の範囲で表されますが、一部のビールではこれを超えることもあります。以下は、一般的なIBUのレンジとそれに対応するビールの例です。
- 0〜20 IBU: ほとんど苦みを感じないか、非常に穏やかな苦みのビール。例:ライトラガーやヴァイツェン。
- 20〜40 IBU: 中程度の苦みを持つビール。例:エールやポーター。
- 40〜60 IBU: やや強い苦みが感じられるビール。例:IPAやアメリカンペールエール。
- 60〜80 IBU: 強い苦みが特徴的なビール。例:ダブルIPAやインペリアルスタウト。
- 80〜100+ IBU: 極めて強い苦みを持つビール。例:トリプルIPAやバーリーワイン。
IBUはビールの苦みのみを示す指標であり、ビールの香りや味わいに影響を与える他の要素(例:ホップのアロマ)を考慮しません。したがって、同じIBUのビールでも、ホップの種類や醸造プロセスによって異なる風味が得られます。
SRM
SRM(Standard Reference Method)は、ビールの色の濃さを表す指標です。ビールの麦芽が焙煎される際に生成される色素の量に基づいて測定され、その結果はビールの色の濃さを数値で示します。SRMはアメリカのビール業界で一般的に使用されています。
SRMの測定は光の吸収率を用いて行われます。光の吸収率はビールの色の濃さに応じて変化するため、これを測定することでビールの色を定量化することができます。SRMの値が低いほどビールは明るく、高いほど濃い色を示します。
以下は、一般的なSRMのレンジとそれに対応するビールの例です。
- 1〜2 SRM: 非常に明るい色、ほぼ透明なビール。例:ライトラガーやピルスナー。
- 3〜5 SRM: 明るい色、淡い琥珀色のビール。例:ペールエールやコロナ。
- 6〜10 SRM: 中程度の色、琥珀色やゴールデンブラウンのビール。例:アメリカンエールやヘーフェヴァイツェン。
- 11〜15 SRM: 中〜濃い色、アンバーやレッドブラウンのビール。例:アイリッシュエールやレッドエール。
- 16〜20 SRM: 濃い色、ルビー色やブラウンのビール。例:スコッチエールやブラウンエール。
- 21〜30 SRM: 非常に濃い色、ダークブラウンやマホガニー色のビール。例:ポーターやスタウト。
- 31〜40 SRM: 極めて濃い色、黒や濃い茶色のビール。例:ロシアンインペリアルスタウトやバレルエイジドビール。
SRMはビールの色を簡潔に表すための便利な指標であり、ビール愛好家や醸造者にとって重要な情報源です。ビールの見た目だけでなく、一般的なビールスタイルや味わいを予測する上でも役立ちます。
EBC
EBC(European Brewery Convention)はSRMと同様にビールの色を測定するための指標ですが、ヨーロッパでよく使用されます。
EBCはSRMと同じ原理を使用してビールの色を測定しますが数値の表現方法が異なります。EBCの測定結果はビールの色の濃さを表す数値として示されます。SRMと同様にEBCの数値が低いほどビールは明るく、高いほど濃い色を示します。
多くの場合、SRMとEBCは次のように対応します
- 1 SRM ≈ 2 EBC
このようにEBCとSRMはビールの色を測定するための相互変換が可能ですが、ヨーロッパではEBCが一般的に使用され、アメリカではSRMが一般的です。
IBUとSRMは、ビールの味わいや見た目を理解する上で重要な指標です。ビール醸造者はこれらの指標を使用して特定のビールスタイルを目指し、望ましい味わいや見た目を実現します。消費者はIBUとSRMを考慮してビールを選択し、自分の好みに合ったものを見つけるのに役立てることができます。